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【整う食の選択|連載ブログ】第1章 ~「手放す」ことから始まる体の整え方
整体師が30年菜食を続ける理由 ─「手放す」ことから始まる体の整え方
「30年間、お肉や魚を食べていません」
そうお話しすると、多くの方から「意志が強いんですね」「何かの思想や宗教ですか?」と聞かれます。しかし、私自身は決して何かを強く主張したいわけでも、誰かに自分のスタイルを強制したいわけでもありません。
私が菜食生活を始めた理由は非常にシンプルです。それは「自分の身体を使って、どんな変化が起こるか試してみよう」というひとつの実験でした。整体師として多くの方の身体に触れ、骨格や筋肉、神経系統へのアプローチ、内臓の状態と反射による調整をして向き合ってきた私が、30年という年月をかけて自分の体感と臨床経験から確信したこと。それは、身体を整える秘訣は「何を足すか」ではなく「何を手放すか(引き算)」にあるという事実です。
施術現場で見てきた「巡る身体」と「詰まる身体」
日々、患者さんの身体に触れていると、手から伝わってくる感触には明確な違いがあります。当然、痛みやこり、不定愁訴の類いだけでなく、心の波や精神状態も身体に現れています。
・「巡る身体」:筋肉はしなやかで、伸縮性があり、関節に適切な力と弾性がある。皮膚の表面は潤いと張力があり、温かみと弾力を感じる身体。
・「詰まる身体」:筋肉が過緊張や弛緩した状態で、硬結ができやすく、熱のこもりや、むくみ、重さがある。手足と体幹とのつながりに流れの悪さ、滞りがある身体。
この違いは、単にふだんから「運動しているか」「ストレッチしているか」だけでは説明がつきません。その根底にあるのは、日々の「食事」による消化・吸収・排泄のサイクルと呼吸の深さです。
人の身体は、食べたもので作られています。そして同時に、「食べたものを処理するプロセス」によって毎日酷使されてもいます。処理しきれなかった負担が全身の巡りを滞らせ、筋肉のコリや関節の動きの悪さ、痛みや、慢性的な倦怠感として現れてくるのです。
「足し算」の健康法から「引き算」の健康法へ
現代社会の健康情報の多くは、「○○が身体に良いから食べよう」「栄養が足りないからサプリメントを足そう」という足し算の発想になりがちです。
しかし、現代人の身体は「栄養不足」「カロリーオーバー」そして、「過剰による処理能力オーバー」で悲鳴を上げているケースが圧倒的に多く見受けられます。消化に膨大な時間を要する食材、体内で分解しにくい油脂分や添加物。これらが日常的に体内へ入り続けると、身体の内臓器官は24時間フル稼働を強いられます。
私が30年前にプラントベース(菜食)へとシフトした際、最も顕著に感じたのは「身体の軽さ」と「回復力の早さ」でした。消化器官への負担を減らしたことで、身体が本来持っている「自己修復力」にエネルギーを100%集中させることができるようになったのです。
「押し付けない」からこそ見えてくる、自分らしい選択
私がこの経験を通じて一番お伝えしたいのは、「全員が今すぐ完全なビーガンになるべきだ」ということではありません。世の中には様々な体質があり、生活環境や価値観も一人ひとり異なります。「こうしなければならない」という義務感や罪悪感で食事を選んでしまっては、かえって心が疲弊し、自律神経を乱す原因にもなってしまいます。
大切なのは、「これを食べたら、明日の自分の身体はどう感じるだろう?」と、身体の声に耳を澄ませる対話技術です。
・今日はちょっと胃腸を休ませるために、お肉をお休みにしてみようかな
・週末だけ、野菜を中心とした食事に整えてみよう
それだけでも、身体は確実に変わり始めます。
身体を整える旅は、何かを無理やり我慢することではありません。不要な負担を手放し、身体が本来持っている「めぐり」を取り戻していく、とても心地よいプロセスです。私の30年間の実践は、あくまで「一つの選択肢」であり「成功した一つの実験結果」に過ぎません。ぜひこの記事をきっかけに、あなた自身の身体を使った「心地よい選択」を一緒に探してみませんか。
次回は、「なぜマッサージや整体でほぐしても、数日で痛みが戻ってしまうのか」を、内臓疲労という視点から解剖学的に解説します。腰痛・肩こりでお悩みの方は、ぜひ次の記事もご覧ください。



