前回2月にお送りいたしました「首(頚椎)編」、今回は「胸郭(背中と胸)」をテーマとしたいと思います。
からだを知ろう②胸郭を知ろう
胴体(体幹)の上部を取り巻く胸と背中は、骨格的には胸骨・肋骨・胸椎で形成され、その一連の繋がりは胸郭と呼ばれたりします。
上には首があり、下には腰(後部)・お腹(前部)があり、横(外方)には腕があります。
胸郭は、からだの十字路に位置していると言えるでしょう。
そのため、胸郭の可動性による問題は他の部位(首・腕・腰など)へ影響を及ぼしやすく、また逆に影響も受け易いです。
普段、私たちは何気なく呼吸をして生活を営んでおりますが、肺自体が膨らんだり萎んだりしている訳ではなく、胸郭の拡張や横隔膜(胸と腹を隔てる筋)の収縮運動で胸郭内陰圧を発生させ、肺を膨らませています(肺を縮めるにはその逆)。
胸郭の可動には、12対の肋骨を動かして行なうのですが、肋間筋など呼吸筋と呼ばれるモーターを働かせて胸郭拡張を行なっています。
デスクワークで姿勢を丸くしていたりすると胸郭の動き(とくに拡張)を妨げます。肋骨の動きは制限されますが、モーターの出力はむしろ増加したりします(頭の位置などで)。結果として関節の部分に負担が増えて背中のコリや不快感へと繋がります。
横隔膜も、姿勢を丸くしている格好では動きを制限されます。
横隔膜は、胸腔と腹腔を隔てている関係上、腹腔への影響も大きく、動きが弱まると横隔膜ポンプによる内臓をマッサージする効果が弱まり、便秘や足のむくみが起こりやすくなります。
このように、丸い姿勢を長期的に続けていると、胸郭の使い方が変わってきます。つまり呼吸に変化が出てきます。
それは呼吸が浅くなる事、そして速くなる事です。
呼吸が浅くなると・・・酸素摂取量と二酸化炭素排出量のガス交換が減ります。代謝の低下や頭の回転が鈍くなったり疲れやすくなります。
呼吸が速くなると・・・自律神経の中の交感神経を刺激して、緊張が起こりやすくなります。
そして、丸くなった姿勢では、お腹(前面)・脇腹(側面)の筋肉が縮まりやすく、そうなると腰骨と下部肋骨群が接近してウエストのくびれが消えたりします。このような状態では良い姿勢をつくろうとすると知らず知らずに(腰が伸びずに)背中で反ってしまいます。そうすると、生理的彎曲のS字カーブが背中と腰のところで逆転してしまい「疲れやすい背骨」になってしまいます。
また本来うしろにカーブをしている背中(胸椎)が真っ直ぐになったり逆カーブになるのは呼吸器や系循環器系にとっても当然良くはありません。
手の痺れの原因のひとつ、胸郭出口症候群も文字通り、胸郭と関係があります。
上部肋骨と鎖骨と周りの筋肉で確保されている空間に神経や血管が通っているのですが、その空間が狭くなると手の痺れが出やすくなります。
これも背骨と肋骨の影響から来ることが多い症状です。
まだ、いろいろと胸郭には秘密がありますが、この続きは次の機会ということで。